青葉の放言

大学生の戯言を綴っています。身の回りの出来事から政治・社会問題に至るまで雑多なことを書き連ねております。

トランプが抱える影とそれを照らすもの②

2020年の世界~最悪のシナリオ~

 2020年といえば東京オリンピックの年ですが、同時に、今年選ばれる大統領が4年の任期を終える年でもあります。もしトランプ氏が大統領になった場合、今年以降の4年間はどうなるのでしょうか。私の妄想にしばしおつきあいください。

 

 まずは、トランプ政治がどのように機能していくのかを考えてみましょう。あまり注目されていませんが、アメリカでは、大統領選挙と同時に議会選挙も行われます。現時点の世論調査では共和党の優勢が伝えられていますが、共和党内部には反トランプ派も根強く残っています。共和党からも支持が得られなくなった場合、トランプ氏の政策は看板倒れになりかねません。ただ、実業家ドナルド・トランプがそんな状況に甘んじることはないでしょう。我々凡人には思いつかないような手を使って、数々の政策を実行していくでしょう。

 東アジア情勢を考えると、北朝鮮の台頭が懸念されます。トランプ氏はプア・ホワイトを救うために貿易に力を入れるでしょうから、いわゆる「G2の世界」、すなわち中国とアメリカがリードする世界、が基本的な路線になります。その前提として、中国包囲網とも呼ばれるTPPに批准しないことが大切になります。そうした状況にともなって、中国とアメリカの関係は比較的軟化するでしょう。その一方で、韓国と日本は軍事的に弱体化するはずです。そして、在日米軍撤退が進むかどうかまではわかりませんが、基地の縮小や連携の希薄化などは間違いなく進むはずです。とすれば、北朝鮮にとっては好都合です。アメリカを攻撃対象から外し、優先順位の一番手を韓国、二番手を日本として両国にプレッシャーをかけてくることが予想されます。

 次に、テロとの関連で考えてみましょう。トランプ政権においては、中東におけるアメリカの役割が大きく縮小します。すると、中東情勢は「ロシア対イスラーム過激派」という構図になります。しかし、ロシアはウクライナ問題などのせいで国際的に孤立を深めていますから、決して欧州のリーダーシップを握ることはないでしょう。とすると、ドイツやイギリスあるいはフランスにリーダーシップが期待されますが、正直どの国の政権も不安定です。そうであるならば、導かれる結論は一つ。サウジアラビア王国の崩壊でしょう。昨今の原油価格の継続的な下落のせいで、サウジアラビアをはじめとする石油産出国は、経済的に苦しんでいます。王政に不満を持つ人々が、現在のISとくっつき、新たな危険因子として成長する可能性は無きにしも非ずでしょう。アメリカの撤退は、結果的に「テロ」勢力に市民権を与えてしまう可能性があります。そして、当然のことながら、IS的なテロ国家が石油を買い占めれば、世界は大恐慌になるでしょう。トランプ氏は国内産業に異様な関税をかけることを公約にしていますし、結果的には、世界中でいわゆる「貿易戦争」が発生する確率は少なくないと思います。

 最後に、政治力学以外のところから新たな火種が起こる可能性があることも記しておきたいと思います。それは「過激発言」がもたらす火種です。アメリカと中東の関係、アメリカとロシアの関係は、トランプ氏の不用意な一言から悪化する可能性があります。さらに言えば、トランプ氏は女性差別的発言を繰り返していますから、他国の女性首脳との外交、自国の女性政治家との政策形成の段階において、何らかの軋轢を生んでしまう可能性もあるでしょう。上で述べたような東アジア情勢の悪化やテロの脅威の増大に加えて、「人間性」の面でも世界を混乱させてしまう可能性があるのです。

 

アメリカにはまだ「マトモ」を共有できる人たちがいる

 思い付きでたくさん書き連ねてみましたが、もし本当に上のようなことが起こったら、確実に世界は壊れてしまうでしょう。しかし、上のようなことは起こらない、と私は考えています。それは、「アメリカにはまだ『マトモ』を共有できる人たちがいるから」です。

 先日からずっと述べてきたように、アメリカの人々、特にプア・ホワイトの間に流れているのは、「目の前の絶望から自らを救ってくれる人」「強いアメリカを再構築してくれる人」を望む空気です。しかしながら、その状況を外側から冷静に観察できている人々がいることもまた事実です。トランプ・反トランプのいさかいに惑わされることなく論評でき、かつ政治に大きな影響力を与えられる人物が少なからずいます。右寄りで有名な元国防次官補のジョセフ・ナイなども、トランプと同じ保守派でありながらトランプ氏とは一線を画している人物です。彼らがトランプ政権の内側にパイプを持ち続けることができれば、そしてトランプの外交政策やその発言をうまくコントロールできれば、トランプ氏だってあまり極端なことはできないはずです。

 こうした点から考えれば、仮にトランプ氏が大統領になったとしても、世界はそこまで不安定にならないのではないか、という予測を立てることもできます。

 

我々が今後注目すべきこと

 今後、日本でも大統領選のニュースが飽きるほど流れると思います。11月まで続く長い選挙戦の中で、我々が注目すべきことは二点でしょう。

 一点目は、トランプ氏が副大統領候補に誰を指名するのかということです。サラ・ペイリン氏のようなガチガチの保守強硬派がなれば、身構えなければなりませんし、クリス・クリスティー氏らのような比較的穏健な人が選ばれれば、比較的安心することができます。副大統領といえば、民主党クリントン氏がエリザベス・ウォーレン氏を副大統領に起用するのでは、と噂されていますが、そちらの情報とあわせて注視していく必要があるでしょう。 二点目は、共和党が結束できるのかということです。予備選を通じて共和党は完全な分裂状態になってしまいました。11月にある本選挙に向けて、どこまでまとまることができるのか、注目していかなければならないでしょう。

 

 トランプ氏は、アメリカのみならず世界中から注目を浴びて選挙を戦っています。マトモだけども危い。危ういけれどもそこに救いはある。世界中に影響を与えうるトランプ氏がどのような形で選挙を終えるのか。まだ誰にも分かりません。

 自分自身の未来を予想するためにも、トランプ氏を中心に回っているアメリカ大統領選挙をこれからも注目していくべきではないでしょうか。