青葉の放言

大学生の戯言を綴っています。身の回りの出来事から政治・社会問題に至るまで雑多なことを書き連ねております。

Brexitの衝撃~今後のシナリオをみる~

Brexit Shock 

 昨日午後、世界に激震が走りました。イギリスで行われていた国民投票により、同国のEU離脱が決定したのです。そしてこれはEU圏のみならず、日本やアメリカにも大きな影響を及ぼしました。日本では、急激な円高と株安が進み、経済ニュースとしてメディアで大きく報道されています。ツイッター上では今回の騒動を「Britain Exit」略して「Brexit」として、盛んにツイートが交わされています。

 さて今日は、EU離脱の背景と、今後の展開を一つ一つ予想していきたいと思います。話題が多岐にわたりますので、一つ一つの論考はそれほど深いものではありませんが、さらっとお読みいただければ幸いです。  

EU離脱残留か 

 まずは、「なぜイギリスはEUを離脱したがっているのか」というところから話を始めましょう。少し複雑ですが、正確な言い回しをすれば、「『移民のせいで』たくさんの辛いことが起こっていると多くのイギリス人は感じているから」です。本当は移民のせいでないにもかかわらず、です。

 今回の投票結果を分析してみると、離脱を支持しているのは高齢者と地方の人々でした。なぜ、彼らは離脱を支持したのか?それは「生活に対する不満がたまっていたから」です。彼らの生活が苦しいのは、イギリス政治のせいでもあり、中東のせいでもあります。東欧や中東から大量に押し寄せる移民もそのone of themではあるけれども、それがすべてではありません。むしろ、低賃金で働いてくれる移民がいた方が生活は楽になるのかもしれません。それにも関わらず、彼らは、自分たちの苦しさをすべて「移民」に押し付けてしまったのです。

 その根底にあるのは、「俺らは大陸とは違うんだぜ」という島国イギリスのプライドでしょう。経済的にはマイナスの影響があることはわかっていても、「未来」にそれほど重きを置かない高齢者を中心に、離脱の動きが進んだのです。

今後はどうなる? 

 Brexit Shockの今後を様々な面から考察していきたいと思います。

①イギリスとEU

 EUとイギリスの今後の関係について、予測されるところを簡単に記しておきます。EU条約50条2項に従ってみていきましょう。鍵カッコ内は条文の文言です。まず、離脱するという「通知」がいつEUに伝わるのかという問題があります。その「通知」を受けて「協定」が作られるはずですが、その協定に他国がどの程度合意するのかしないのかという問題。さらに、その合意内容にイギリスが批准するのかどうかという問題があります。離脱まで2年、と言われていますが、実際には3年以上長引く可能性もあると思います。

 手続き的な面でなく、「協定」を含めた経済的調整がどのくらい行われるのかという問題も一方ではあります。というのは、EEAという枠組みの中にいさえすれば、EUを離脱したとしても経済環境は今とほとんど変わらないようなのです。もちろん、枠組みだけの問題ではなくEU側から要求される「離脱の条件」のようなものも考慮に入れる必要があるでしょう。いずれにせよ、政治的独立と経済的独立が分離するか否かが焦点となるでしょう。

②イギリス国内

 国民投票敗北を受け、キャメロン首相が辞任を表明しましたが、事態はそう単純に解決しません。ボリスジョンソン氏がリーダーになるにせよ、EU離脱まで、そしてEU離脱後も、イギリス国内の混乱はしばらく続くだろう、というのが大方の見方のようです。

 簡単に言えば、中産階級の没落が予想されるということです。この階層は「離脱」を支持した層ですが、長期的に見れば経済のパイ縮小に伴う没落は避けられないというのが実情です。今回の国民投票を一つの契機として新たな衝突がたくさん生まれました。女性議員の殺害もイギリス政治の常識からすれば考えられないことのようです。今後どのようにして国内の統一を図っていけるのか、新リーダーの手腕が問われるところです。

 「連合」としての動揺も避けられないでしょう。今日未明の時点で「スコットランド 2度目の国民投票へ」というニュースが日本でも流れていますが、比較的早い段階でスコットランドは独立しそうです。同時に、残留派が上回った北アイルランドでも同様の動きが出る可能性は否定できません。こちらの動きにも注目する必要があります。

③EU内

 イギリスの動きに追随するのはどこで、その動きに歯止めをかけるのはどこか、という視点から見てみましょう。

 まず、昨年の移民大量流入をうけ、右派・ナショナリズムを標榜する政党がEU各国で成長していることを確認しなければなりません。オランダ自由党、フランス愛国前線のルペン氏、などです。EUの盟主ドイツでも右翼政党が成長しています。こういった勢力がどういったレベルで各々の主張を行うのか、注目しておく必要があります。

 次に、EUを離脱ししそうな国々についてみていきたいと思います。昨日のフジテレビ「ユアタイム」のなかで名前が挙がっていたのは、成績の良いデンマーク、成績の悪いギリシャ、という国々です。EUが泥船になれば、そこに恵みをもたらす者も、さこから恵みを享受する者も去っていくということです。

 ドイツやベルギーはこうした動きを強くけん制しています。メルケル首相がEUの結束を呼び掛けたように、もう一度EUとしてのブランドを取り戻そうじゃないか、という流れも当然あります。移民政策では失敗の烙印を押されたメルケル氏ですが、経済問題でもう一度EUを動かそうという意志が見て取れます。ただ、メルケル氏の任期も来年で終了しますから、その後EUのリーダーシップは誰がとるのか、という問題も存在しているのです。

④世界経済と日本

 他の国々はどう思っているのか、というところを一気に見ていきたいと思います。

 まずこの離脱にほくそ笑んでいるのはロシアでしょう。ウクライナにしても中東にしても、EUにブレーキをかけられ続けてきました。その重しが取れたロシアは自らイニシアティブをもって様々な政策を展開す必要があります。

 アメリカはどうでしょう。現時点では、株の下落などの影響が出ていますが、そこまでひどいものではないようです。ただし、トランプが大統領になったときの不透明感は忘れてはなりません。アメリカン・ファーストのトランプは、ビジネスパートナーとしてイギリスとうまく付き合うでしょうが、EUを抜け弱体化したイギリスにどこまで価値を見出し、どこまで強い要求をするのか、全く見当がつきません。衝突が起こる可能性もあります。

 中東はどうでしょう。経済的な不確定要素は沢山ありますが、やはり石油価格どのように変動するかでしょう。私が以前から言っている通り、サウジアラビアは崩壊する危険性を秘めています。移民排斥による不満と、経済低迷による貧困が相まって新しいテロは始まる可能性が高いというのが現状ではないでしょうか。

 中国に関してはEUとのつながりをよく理解していませんが、少なくとも経済的に危機的な状況であることはぬぐえないでしょう。イギリスとは別個の要因で崩壊する可能性もあります。

 さて、日本についてですが、冒頭でも述べた通り、かなり厳しい状況に追い込まれてしまいました。ドルも信用していない、ユーロもポンドも信用できなくなった。そん人々が追い求めるのは円だからです。円を買う動きが昨日急速に高まり、一ドル99円台まで一時円高が進みました。週明けもそれほど回復せず、一説によると95円台まで下がる可能性もあるとのことです。株価も13000円台までは下がるでしょうから、輸出産業を中心とする日本の経済界にとっては苦しい夏になりそうです。日銀の介入がどのようなタイミングで行われるのか行われないのか、という点が円高が長期化するか否かを決定しそうです。

 

 こうしてみてみると、イギリスのEU離脱は世界に大きな大きな影響を及ぼしていることがわかるのです。