青葉の放言

大学生の戯言を綴っています。身の回りの出来事から政治・社会問題に至るまで雑多なことを書き連ねております。

眞子さま婚約が「天皇制」に与える影響

眞子さま婚約というスクープ

 今夜、NHK「ニュース7」が「眞子さま婚約へ」というビッグニュースをトップで伝えました。それに続き、各通信社・新聞社も続々と速報や号外をうっています。今上天皇生前退位に続き、皇室のスクープについては他社に負けないというNHKのプライドが見て取れるのではないでしょうか。

 個人的には、このニュースを知った時、2つの感情を抱きました。1つは素直に、「おめでたいな」という気持ちです。ICU時代の同級生ということで、本人とも親しく、宮内庁にも認められる良いお方なのだろう、という祝福の気持ちを抱きました。しかし、一方では、ある懸念も覚えました。それは天皇制の未来の議論における影響です。眞子さまのご結婚は、「皇族のひとりが皇室を離れる」という意味以上の、重大な意味を持っていると私は考えています。今回は天皇制の未来について書いてみたいと思います。

女性天皇」と「女系天皇

 まずは、これまで天皇制に関してどのような議論がなされてきたのかということについて簡単にまとめたいと思います。

 これを語るためには、「女性天皇」と「女系天皇」ということばについて理解しておく必要があります。「女性天皇」とは、読んで字のごとく女性の天皇です。本人が女性であるかどうか、そこが判断の基準です。一方で、「女系天皇」ということばがあります。これはすこし厄介な概念です。端的に言えば、「(その天皇の)父の父の父の……」と遡っていったとき、先代の天皇につきあたらない天皇のことを指します。そういってもわかりにくいと思うので、例を挙げてみましょう。仮に、愛子さまの子が天皇になったとします(こういう例えはひんしゅくをかうかもしれませんが)。この天皇は、「父の父の……」と遡っていっても、かつて天皇であった先祖が存在しません。これが女系天皇なのです。かなり乱暴な定義の仕方をすれば「父が神武天皇(初代)の血をひく天皇」ということになろうかと思います。

 ですから、「女性の男系天皇」も「男性の女系天皇」も理論上は存在しうる、ということになっています。こうしたことばをふまえて、天皇制の議論を見ていきましょう。

天皇制の危機

 さて、現在の皇室典範は、皇位継承権について、1条で「皇統に属する男系の男子」という要件を定めています。「男子」ですから、男性天皇しか認められておらず、眞子さまや佳子さまは天皇になることができません。同時に、「男系」と決められていますから、将来、愛子さまの子が天皇になることも不可能です。

 こうした状況の中で、皇位継承が危機に瀕しているという事実が存在しています。現在、皇位継承権を有しているのは、① 皇太子さま(1960年生) ② 秋篠宮さま (1965年生)③ 悠仁さま(2006年生) ④ 常陸宮さま(1935年生) の4名しかいません。そして、悠仁さま以外の3方がこれから新しい子を授かることは現実的に厳しいと言わざるを得ません。とすれば、天皇制の存続は、現行制度のままでは、悠仁さまに託されているということになるのです。果たして、そんなプレッシャーの中で、悠仁さまの后になる女性は現れるのでしょうか。悠仁さまにとっても、女性にとっても、窮屈な未来となってしまいます。

天皇制を存続するための選択肢

 こうした2000年以来の伝統が廃れる危機にあることを、まずは認識しなければいけません。そのうえで、まずは「天皇制が必要か?」という議論が沸いてきます。共産党をはじめ、天皇制については様々な議論があるのも事実です。しかしながら、今上天皇に対する世論調査などをみていると、天皇制に対する批判が大きいとは思えないのもまた事実です。

 そこで、「天皇制をどのようにして未来へ継承していくのか?」という議論へ移ることになります。小泉政権時代から、この問題は「喫緊の課題」として議論がなされてきました。

 一つの解決策は、「女性天皇」を認めるということでしょう。現在、天皇になれるのは男子だけですが、神武天皇以来の皇室の歴史を見てみると、実に8人10代の天皇が女性なのです(斉明天皇皇極天皇重祚称徳天皇孝謙天皇重祚)。こうした歴史から「女性天皇」を認めようという動きは少なからず存在しています。

 とはいえ、そうは言っても、これだけでは問題の解決には至りません。現行の規定から「男子」要件を緩めると、愛子さま、佳子さま、眞子さま、彬子さま、瑶子さま、承子さま、絢子さまが皇位継承権を持ちますが、皇室典範12条により、女性皇族は一般の人と婚姻すれば皇族身分を離れます。ということは、将来的には、やはり悠仁さまの子にしか皇位継承権が認められないのです。

 こうした状況のなか、近年の論壇を見ていると、問題解決への選択肢として大きな方向性が2つ提示されているように思えます。

① 男系を守る+旧宮家の復帰
② 女性宮家の創設から、女系天皇容認へ

 ①の選択肢は「男系」という2000年来続いてきた天皇にこだわる選択肢です。どうするかと言うと、1947年に皇籍を離脱した約50名の人々、そしてその子孫を皇族に復帰させるというアイディアです。この人々は「旧皇族」「旧宮家」と呼ばれています。この人々のうち「男系」の者に皇位継承権を与えていくことで、「男系」を守り抜こうというのです。ちなみに、「明治天皇の玄孫」としてメディアに出演し数々の自由奔放な発言をしている学者の竹田恒泰氏などもその一人です。

 ②の選択肢は、現在の皇族にこだわる選択肢です。どうするかと言うと、女性が結婚しても皇族に残る「女性宮家」の制度を整備すること、そして女系天皇を容認していくというアイディアです。佳子さまや愛子さまが将来結婚した時も、皇族に残るような制度設計をし、その子にも皇位継承権を与えていこうというスタンスです。

 この2つの立場はなかなか相容れず、21世紀に入って以降議論されてきたものの、結論が出せないままでいました。私はかねがね、早期に結論を出すべきだと考えてきました。それは、眞子さまや佳子さまなど、愛子さま以外の女性皇族が結婚適齢の時期にあるからです。②の選択肢をとるならば、女性皇族が結婚する前に結論を出さなければ意味がない―――そんな風に考えていたところでした。そこに飛び込んできたのが、今夜の「眞子さまご婚約」というニュースなのです。

眞子さまご婚約の影響

 今後も女性宮家の議論は続くでしょう。現政権では、女性宮家の創設を見送るというようなニュースもありましたが、議論自体はこれからもなされていくでしょう。

 しかし、今回の眞子さまご婚約の報は、女性宮家の創設、女系天皇の容認に大きな壁としてのしかかってくるのではないかと思います。それは、佳子さまと眞子さまの待遇が大きく異なってくることに対する反発です。眞子さまがご成婚され皇族を離れたあと、女性宮家が創設され、佳子さまは結婚しても皇室に残る。たった3歳しか年の離れていない姉妹にこうも差異ができてしまって良いのでしょうか。他の女性皇族を見てみても、30代が多く、婚期のわずかな差で身分に大きな差が出てしまうのは良くないのではないでしょうか。もちろん、制度が変わったら待遇が変わるのは仕方ないのだ、という意見もわかりますが、皇族というものの統一性と、制度を変えるならば「世代」を意識すべきだろう、と言うのが私の見方です。

 よって、従来検討の中心とされてきた②の案が勢いを失っていくのではないか、ということが予測されます。私は、どちらかと言えば①よりも②の立場に近い考え方を持ってきました。小さいころから皇族方の成長を見ているという”familiar”な視点こそが「国民統合の象徴」にふさわしく、重視すべきだと思っていたからです。いままで一般人だった人、そのこどもが突如皇位継承権をもつとしても少し違和感を抱いてしまうのも事実です。しかしながら「眞子さまご婚約」の報により、①の議論もかなり真剣に検討されるようになっていくのではないかと思っています。

現実的かつ「自由」を意識した議論を

 こうしたテーマには正直言って安全保障以上の国民的議論が求められます。そこで我々が留意しなければいけないのは、天皇をはじめとする皇族が――――一部制限されるとはいえ――――人権を有しているということであり、できる限り自由な選択をできるよう世論から議論を巻き起こしていかねばならないということでしょう。

 女性皇族が結婚適齢期にある今、どんなに遅くとも愛子さまや悠仁さまがその時期に入る前までには、結論を得なければなりません。現実的かつ皇族の「自由」を意識した議論を続けていく必要があります。

 

 おめでたい話題の中ですが、こうした影響も理解しておく必要があるでしょう。